日本傾聴塾
2023年3月
日本傾聴塾会長 木村知子
みなさまへ
1997年に神奈川ALCとして神奈川県で誕生した小さなボランティア団体は2023年には全国で8つの独立した組織の連合として450名以上の会員が『傾聴』を使った援助の実践を目指す日本傾聴塾となり、日々の傾聴活動を続けています。その礎となっているのが「聴くことは それだけで 援助になる」という共通の理念です。
私たちが日ごろの生活の中で耳にする援助とはどんなものがあるでしょうか。“病気を治してもらった”、“仕事を世話してもらった”、“道に迷っているときに案内してもらった”、“相談にのってもらった”等々・・私たちの周りには限りない援助が存在しています。そして、その気がかりや不安、心配事が具体的には解決しなくても、私たちは話すこと、聴いてもらうことで「なんか気が済んだ」「あぁ、助かった」とホッとし、安心するのではないでしょうか。日本傾聴塾はそれらの援助の基盤となるのが、“上手く聴くこと=傾聴”だと考えています。
この傾聴を使った援助の場として私たちは長年、病院や高齢者施設を中心に傾聴ボランティアとして活動を続けてきましたが、2019年からのコロナでほとんどの施設、病院でのボランティア活動は不要不急のものとされ、活動休止、制限を強いられ3年が経過した現在でも今までと同様の傾聴ボランティア活動が出来なくなっているのは、大変残念な事実です。しかし、傾聴を必要としている方、聴いてほしい方がいらっしゃるのも紛れもない事実です。なかには「特に困ってないし、まあまあ幸せだし、わざわざ聴いてもらうこともないなぁ」とおっしゃる方もいらっしゃるでしょう。しかし時に私たちは誰でも“誰もわかってくれない”と孤独を感じ、そして“誰にもわかってもらえなくてもいい”と孤立を選びながらも本当は“誰かにわかってもらいたい”と願っているのではないでしょうか。つまり、この孤独と孤立の苦しみは私たち、誰もが一度は感じたであろう普遍的な苦しみと言えるでしょう。このように誰にでもあるであろうさまざまな苦しみを、理論に基づき訓練を受けた会員が聴かせていただくことによって、相手の方がどんなことでも自由に安心して話し、その苦しみが少しでも和らぐことが日本傾聴塾の活動目的です。
これからの日本傾聴塾は今までの施設や病院での傾聴ボランティア活動の殻を破って、身内への傾聴、友人の傾聴、電話やメール、LINEを使った傾聴など、多様な状況での傾聴活動を行ってまいります。これらの傾聴活動の現場で「聴くことは それだけで 援助になる」という理念が実現するように、会員である私たち一人一人が、今までの傾聴の考え方や方法を工夫し、探求し続けなければならないと思っています。今こそ、真の意味での「いつでも どこでも 誰にでも 傾聴を!」という対人援助を実践できる傾聴活動のチャンスだと考えています。
歴史と現状
傾聴ボランティア「日本傾聴塾」の提唱者は、京都ノートルダム女子大学名誉教授の村田久行氏(現日本傾聴塾副会長)です。
村田教授は1993年、山形県で特養ホームを訪問し、お年寄りからお話を聴くボランティアを始め、それを「傾聴ボランティア」と命名しました。その後、神奈川県の東海大学健康科学部社会福祉学科在任中に、傾聴ボラン ティア養成講座を開講し、1997年この養成講座を修了した人たちが、神奈川県で傾聴ボランティア団体「神奈川ALC(Active Listening Club)」を結成しました。そしてその独自の教育プログラムと活動がその年の東京新聞(1997.4.5朝刊)に紹介されました。
新聞記事へ
これが日本で「傾聴ボランティア」 の名称が、初めてマスコミに登場した最初の記事です。その後神奈川ALC(2005年、神奈川傾聴塾と名称変更)の傾聴ボランティア活動と傾聴ボランティア養成講座は、北海道傾聴塾・山形傾聴塾・京都傾聴塾・大阪傾聴塾・徳島傾聴塾・大分傾聴塾と日本各地に広がり、現在、日本傾聴塾の会員の総数は440名(2021年4月現在)になります。
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