日本傾聴塾

日本傾聴塾

2026年1月
日本傾聴塾会長 宅間志保

みなさまへ

 日本傾聴塾はひとつの考え方にもとづいて、それぞれの個人が会員として活動している 団体です。その考え方が「聴くことは それだけで 援助になる」です。
 これは、私たち日本傾聴塾の基本の考え方であり、理念です。しかし「聴くことは」っ て?「それだけで」って本当に?「援助になる」ってどういうこと?あるいは“あぁなんと なくわかる”“あのときの私の体験だ!” このように思われたかもしれません。
 さまざまな想いのなかで、いま世の中で誰かに聴いてほしいと思っている人がたくさん おられることは日々感じるところです。例えば、病院のベッドで毎日を過ごすことを余儀 なくされている人。高齢になり住み慣れた家を離れて施設で暮らしている人。周りや家族 に悩みを打ち明けられず、独りぼっちだと感じている人や子ども達。医療や福祉、学校の 現場だけでなく、私たちが生きている社会のいたるところで、誰かに話を聴いてほしいと 願っている人がいらっしゃるのではないでしょうか。しかし皮肉にも、生活が便利になれ ばなるほど人と人との関係はどんどん希薄になり、安心して聴いてくれる人と出会えず、 自分のことを誰にも話せず、ますます孤独になっていくという悪循環が起こってしまいま す。この流れはコロナ禍でいっそう加速したように思います。不要不急の外出は控えるよ うに!といわれたコロナによるパンデミックは、人が生きていくうえで必要なものと、そ うでないものをはっきりと知らしめました。例えば、聴くこと、あるいは聴いてもらうこ とは人が生きていくうえで必要なものなのだと。
 人と人との関係性を生みだすためのコミュニケーションは私たち大人が社会で生きがい を感じていきいきとよりよく生きるうえで、あるいは子ども達の成長の過程において、と ても大切だと思います。そのようなコミュニケーションとは、相手の話を「聴く」ことか らはじまるのではないでしょうか。これまで傾聴塾の活動は、病院や高齢者施設を訪れて 相手の方の話を聴かせていただくことが主流でした。しかしコロナ禍で私たちは、傾聴は 限定された人達だけでなく私たち自身を含めたすべての人に対して、つまり家族や友人な ど身近な人、または地域や職場の人、あるいは誰にも想いを話せず苦しんでいる人に「い つでも、どこでも、誰にでも」聴くことで援助の手をさしのべようと意識を変えて活動を 展開しています。現在は、再び傾聴ボランティアに来てほしいと病院や施設からお声をか けていただく機会が増えましたので、従来の訪問型の活動とともに、試行錯誤をともない ながらも、それぞれの会員がそれぞれの形態で活動を続けています。
「聴くことは それだけで 援助になる」-傾聴の理論とスキルを学び、実践すること で、このことの意味をご一緒に探求していきましょう。

歴史と現状

傾聴ボランティア「日本傾聴塾」の提唱者は、京都ノートルダム女子大学名誉教授の村田久行氏(現日本傾聴塾副会長)です。

村田教授は1993年、山形県で特養ホームを訪問し、お年寄りからお話を聴くボランティアを始め、それを「傾聴ボランティア」と命名しました。その後、神奈川県の東海大学健康科学部社会福祉学科在任中に、傾聴ボラン ティア養成講座を開講し、1997年この養成講座を修了した人たちが、神奈川県で傾聴ボランティア団体「神奈川ALC(Active Listening Club)」を結成しました。そしてその独自の教育プログラムと活動がその年の東京新聞(1997.4.5朝刊)に紹介されました。

新聞記事へ

これが日本で「傾聴ボランティア」 の名称が、初めてマスコミに登場した最初の記事です。その後神奈川ALC(2005年、神奈川傾聴塾と名称変更)の傾聴ボランティア活動と傾聴ボランティア養成講座は、北海道傾聴塾・山形傾聴塾・京都傾聴塾・大阪傾聴塾・子育て傾聴塾と日本各地に広がり、現在、日本傾聴塾の会員の総数は304名(2025年11月現在)になります。

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